中小同族企業の経営者や後継者にとって、税制や経済の変化に柔軟に対応し、安定した経営を続けることは大きな課題です。
そのためには財務戦略の見直しが重要となります。
特に、経営者や同族関係者が法人に貸し付ける「その他の固定負債(個人借入金)」をうまく活用することで、企業の資金繰りを改善し、税金の負担を減らしたり、相続対策にもつなげることが可能です。

1.その他の固定負債(個人借入金)とは
1-1. 基本概念
法人が経営者や同族関係者(家族や親族など)から借りた資金を「個人借入金」といい、経営資源として企業運営に活用されます。
大平経営会計事務所では、これを「その他の固定負債」として分類し、経理処理を行っています。
このその他の固定負債(個人借入金)をうまく活用することで、企業の資金調達や税務の最適化を図ることが可能です。
1-2. 経理上の取り扱い
その他の固定負債は法人の負債として計上され、支払利息は税務上の損金になります。
また、金融機関借入よりも返済や金利条件を調整しやすいため、結果として法人の安定経営に寄与するケースが多く見られます。
2.その他の固定負債の活用方法とそのメリット
個人借入金を適切に活用することで、次のような多くの経済的効果が期待できます。
2-1. 法人の資金余裕確保
その他の固定負債は法人にとって資金流入となるため、資金繰りが改善され、経営の安定性が増します。
特に、事業拡大や設備投資を行う際に、外部からの借入れに頼らず、自己資金で対応できる点が大きなメリットです。
2-2. 法人の健全性の向上
その他の固定負債は自己資本ではありませんが、金利支払義務が柔軟であり、「資本に準ずる」負債として経営に寄与します。
特に返済期間や金利支払いについては柔軟に設定でき、法人の財務状況を健全に保つための手段として活用できます。
2-3. 法人の節税
法人が支払う金利は損金として計上でき、法人税の節税が可能です。
金利は、最新の金利情勢を踏まえ、相場に比して不当に高くない、または低くないように設定する必要があります。
合理的な金利設定が、税務調査で問題にならないための重要なポイントとなります。
2-4. 個人財産の蓄積
経営者やその家族が貸し付けを行うことで、個人の資産を増やすことができます。
定期的に利息を受け取ることで、個人の収入源としても活用できるため、法人の発展と個人の資産形成を同時に実現することが可能です。
2-5. 相続税対策
その他の固定負債を贈与することにより、相続税対策が可能となります。
貸付金として贈与すれば、相続財産が減少するため、相続税の負担を軽減できます。
2-6. 増資資金としての活用
その他の固定負債は増資の一環としても利用できます。
個人の預金や資産を使わずに、法人の増資資金を確保できるため、株主資本を増加させ、法人の信用力を高めることができます。
3.その他の固定負債の増加方法
その他の固定負債を増やすためには、以下の方法が考えられます。
3-1. 給料からの借入
経営者自身が給与から借入れを行うことが可能です。
これにより、法人の資金流入を確保しながら、経営者にとっても利息収入を得ることができます。
3-2. 同族関係者地代家賃からの借入
家族や親族間での地代や家賃を元に、借入れを行うことができます。
これにより、同族企業内で資金を循環させ、柔軟な資金運用が可能となります。
3-3. その他固定負債利息からの借入
法人が支払う利息を利用して、その他の固定負債を増やすこともできます。
利息支払いを適切に行い、法人の節税を図ると同時に、資金調達を行う方法です。
3-4. 同族関係者保証料からの借入
経営者や親族が法人に保証料を提供することで、その他の固定負債を増加させることが可能です。
この方法により、法人の負担を軽減しつつ、資金調達を行えます。
3-5. 個人の預金からの借入
個人が手持ちの預金を法人に貸し付けることで、借入金を増やし、法人の資金繰りを改善することができます。
4.その他の固定負債活用における留意点
その他の固定負債の活用には、いくつかの留意点があります。特に、金利の設定や契約書の作成について注意が必要です。
4-1. 金利の設定
金利は、最新の金利情勢を踏まえ、相場に比して不当に高くない、または低くないように設定する必要があります。
合理的な金利設定が、税務調査で問題にならないための重要なポイントとなります。
4-2. 贈与税の申告
その他の固定負債を贈与する場合、110万円以上の金額を贈与した際には贈与税の申告が必要です。
適切な手続きを行うことで、贈与税の負担を軽減し、スムーズに財産移転を行うことができます。
4-3. 記帳の実施
法人側で贈与を行う場合、必ず記帳を行い、贈与証書を作成することが重要です。
記帳を怠ると、後々税務署から問題を指摘される可能性があるため、しっかりと手続きを行うことが求められます。
まとめ
「その他の固定負債(役員借入金)」を活用した節税対策は、法人税だけでなく相続税や個人の収入面にも影響を与える、非常に幅広いメリットを持つ手法です。
最新の税制や金利情勢に即した適切なスキームと書類整備を行うことで、節税効果を最大化すると同時に、将来の事業承継や相続に備えた資金計画をより確実なものにできます。
その他の固定負債を活用した節税対策についてご不明な点や詳しいご相談がございましたら、ぜひ当事務所までお問い合わせください。
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