(1)在庫とは
商品や原材料を購入してまだ販売していないものや製品、生産途上の仕掛品等をいい、一般的には次のようなものがあります。
①商品
②製品
③半製品
④仕掛品
⑤原材料
⑥貯蔵品
⑦未成工事支出金
(2)在庫と利益計算
売上高が同額であっても、在庫金額が異なれば利益金額は変わります。
他の事情がまったく同一である場合の在庫と利益金額の関係は次のようになります。
①在庫を圧縮した場合
圧縮した金額と同額の利益が減少します。
②在庫を増額した場合
増額した金額と同額の利益が増加します。
(3)翌年度の影響
期末在庫を増減した場合には、翌年度の利益が次のように変わります。
①前期末の在庫を圧縮した場合
次年度は圧縮した金額と同額の利益が増加します。
②前期末の在庫を増額した場合
次年度は増額した金額と同額の利益が減少します。
(4)在庫圧縮は利益の繰り延べ
「利益の繰り延べ」 とは、今年度計上する利益を次年度以降に先送りすることを意味します。決算時に在庫を減少させて、その年度の利益を圧縮して税金の負担を少なくする方法は、今年度支払う税金を来年に延ばすことなので、長い目でみて支払う税金の絶対額を直接少なくする方法ではありません。
(5) 利益繰り延べの効果
在庫の圧縮は利益の繰り延べであり、税金の支払を先送りするだけですが、いくつかの利点もあります。
①税金として資金が流失するのを減少できるため、その分だけ手持資金に余裕ができ、それを定期預金等に運用すれば受取利息を収受できます。
②年度によって売上高等が大きく増減することが多い業種では、所得を平準化しやすくなります。
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