資本金とは、法人の場合、貸借対照表の資本の部に表示されているものを指します。個人企業では純財産額を意味し、元入金と呼ばれています。
企業の健全性を維持するために、資本金の管理は大変重要です。
企業の長期的収益性と資金余裕の観点から、自己資本率が非常に低い場合、負債が増大し資金余裕が圧迫されます。また、金利負担が過大となり、収益性も悪化します。
企業を評価する要因は様々ですが、資本金の大きさは、対外的信用力の観点で大きな意味を持ちます。資本金の額が大きくなると、それだけ資金調達能力が高く、資金に余裕のある会社と判断されます。
自己資本比率を上げることは、企業の健全性を維持するための重要な努力要点です。自己資本を増加する方法として増資と利益保留の2通りです。そのうちどちらを優先するべきか、この選択の要点は「蓄積効率の高さ」と「資本金額をどうするのか」で検討をします。
1 「蓄積効率」とは、税金を差し引いた残高です。個人所得の税負担率のほうが法人の税負担率よりも低いうちは、法人から受ける給与等を増額して個人所得を増やし、増資したほうが利益保留よりも蓄積効率を高くできます。
2 「資本金額」によって消費税や法人税で大きな節税の効果があります。資本金が1,000万未満であれば会社設立として原則2年間は消費税が免除であり、住民税の均等割も大きく異なります。資本金をいくらにするのかは会社運営に係る運転資金がどれほどかを考慮し、慎重に検討すべき問題です。
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自己資本の管理要点
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自己資本は大別して3つのグループから成り立ちます。
1 資本金
2 資本準備金(時価発行と呼ばれる増資によって得られるもの)
3 留保利益(利益を計上し、税金を負担し、配当金、役員賞与などを支払った残り)
企業の健全性を維持するため、自己資本比率の維持向上は大変重要です。
資産は増加しなければならないことに加え、増加したくて仕方ないという性質を持っています。しかし資本は、増加したくないという性質に加え、増加しなければならない理由が理解しにくいという点から、蓄積が遅々として進まない企業が多くあります。
自己資本管理の要点は、自己資本比率の維持向上を図ることです。総資本の増加率より、自己資本の増加率を大きくすることが必要です。
自己資本比率を向上させる方法は2点です。
1 総資本を圧縮する→少なくとも経営上不要な資産はなるべく保有しない。
2 自己資本を増加する→資本金の増加と保留利益の確保
自己資本を増加しないと相対的負債の比率が高まって、資金繰りを悪化させたり、金利負担が増大して収益性が悪くなってしまいます。
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総資産の管理要点 自己資本比率改善の要点
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貸借対照表の借方(左側)の合計金額が総資産です。
企業は従業員数、生産設備、投下資本等が同じであっても、毎年固定費が増加します。固定費の上昇に見合う限界利益高を上げなければ、赤字になってしまいます。売上を上げるために生産設備の拡大や、店舗、車両などの投資が必要、必然的に資産は増加しなければならないのです。
また、企業は資産の増加に合わせて資本を増加していかないと、負債が増え企業の不健全化が進行しやすいという性質を有しています。
総資産は、貸借対照表と、個々の資産の内訳書によって管理をします。
貸借対照表は、資産が流動資産と固定資産に区分されていることが必要です。1年以内に現金化できる財産を流動資産といいます。土地、建物、長期貸付金など原則として現金化せずに企業が長期間所有する財産を固定資産といいます。
資産別の管理要点は以下の4つです。
1 支払資産・・・支払いに必要な資産を十分に確保することが必要です。
2 在庫資産・・・商品、製品、原材料等。適正量の確保と不良在庫が発生しない努力が必要です。
3 設備資産・・・建物、機械、車両等。現在使われているものや今後売上高を増やすために必要な設備資産も含みます。導入に関してはリースか買取りかの検討も大切です。
4 投資資産・・・投資有価証券、保険積立金など企業がいざというとき換金することを前提に所有する資産です。換金性が高いこと、換金に税負担が少ないこと、インフレへの対応ができることが要点です。
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貸借対照表の資本の部を『自己資本』と呼びます。
資本の構成内容は原則として『資本金』と『保留利益』で、時価発行増資した一部の企業に限って『資本準備金』が加わります。
自己資本比率によって企業評価をすれば、一応の目安は次の表のようになります。自己資本比率は、最低20%以上必要であり、目標としては30%以上が良いと評価されます。
自己資本比率の低下は負債の増加を意味します。負債は期日が来れば支払や決済をしなければなりませんから、負債が増加すれば、企業の資金繰りは確実に悪化します。自己資本比率の低下により負債が増加すると、金利負担等が増加して企業の収益性が悪化します。
図:P59 ②
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長期的観点の資金管理の意義
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自己資本比率向上の目的は、収益性の向上と資金余裕の維持及び向上です。
自己資本比率を向上する方法は、総資本の圧縮、自己資本の増加の2つです。
総資本とは貸借対照表の資産の部の合計金額もしくは負債・資本の合計金額です。図示すると次のようになります。
総資本の圧縮とは、資産の圧縮です。具体的には次の3つです。
1 売掛金の早期回収
2 在庫の圧縮
3 不要な投資資産の換金
自己資産の増加方法は次の3つです。
1 資本金の増加
2 資本準備金の増加
3 留保利益の確保
一般的に、時価発行増資を行わない中小同族企業では1資本金の増加か3留保利益の確保によることになります。
自己資本比率を維持するための経営の基本姿勢は、少なくとも資産の増加率と自己資本の増加率を同一にすること、できれば自己資本の増加率を大きくすることの二点です。
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長期的観点の資金管理の意義 自己資本比率の重要性
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経営を続ける目的は人によって様々です。いかなる目的にせよ、それを達成するために企業を継続することはとても大切です。そして、経営を続けるためには現在ももちろんですが、長い将来のことも同時に考慮していくことが重要です。
1年以上に及ぶ、長期的観点に基づく資金計画の作成では、自己資本比率に重点を置いて考えましょう。算式は以下の通りです。
自己資本比率の向上を図るには自己資本を増加する方法と総資本を圧縮する方法の二点です。
自己資本を増加させる方法は資本金を増加させる(増資)、利益保留をする。
総資本を圧縮する方法は、売掛金の早期回収、在庫の圧縮、不要な投資資産の換金などが考えられます。
貸借対照表の資本の部を『自己資本』と呼びます。原則的に『資本金』と『留保利益』『資本準備金』の合計を指します。
自己資本率によって企業評価をした場合、一応の目安は表のようになります。自己資本比率は最低20%以上必要であり、目標としては30%以上を目指すとよいでしょう。
自己資本率の低下とはすなわち、負債の増加を意味します。負債の増加は、金利負担等が増加することで、企業の収益性が悪化します。
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短期的観点の資金管理
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c
現在から1年以内の期間を目標にした資金管理を短期的資金管理といいます。
資金管理とは、資金繰りについて総合的に計画を立て(Plan)計画に基づいて実行すること(Do)実績を集計して計画との差異分析を行い(Check)今後の改善策を検討することです。
資金管理を行うときに適している指標が当座比率です。
当座比率の算式は以下の通りです。
当座資産とは現金、預金、受取手形、売掛金、有価証券を言います。
流動負債とは概ね1年以内に返済、もしくは決済する債務を言います。
支払手形、買掛金、未払金、未払費用、短期借入金などをいいます。
当座比率を正確に計算するには、当座資産と流動負債、固定負債の残高を正確に計上した貸借対照表が必要です。特に借入金を1年基準で正しく計上することが要点です。
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資金管理の意義と要点
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流動性の改善には次の2つの要点があります。
1貸借対照表の右側(資金の調達)によって流動性が改善します。具体的には借入金、支払手形などで負債を増やします。次に増資、留保利益の確保等で、自己資本を増やす方法があります。
2貸借対照表の左側(資金の運用方法)を考えましょう。調達した資金をどのように運用するかということです。預金として持つか、あるいは土地、建物、機械などを購入すること等です。
流動負債を圧縮する方法として、支払手形を減らす方法、買掛金・未払費用・未払金をためない方法、短期借入金を長期借入金に借り換える方法が挙げられます。また定期預金など資金のバランスを保つために一定額の預金を持つ必要性を理解しなければなりません。
中小企業の長所を生かし、戦略的に改善していく要点として役員借入金(その他の固定負債)を資本に準ずるものとみなして、自己資本を考える『修正自己資本比率』という指標を使います。役員からの借入金をいかに増やすかはポイントの一つです。
「中小同族企業では、会社と同族経営者は一体である」という基本的な考え方で、法人の資金管理と個人の資資金管理を併せて考えることがこれにあたります。合併した貸借対照表の合併正味財産(資本の部)がどれだけ大きいかが、企業の継続にとって大きな意味を持つことを忘れてはいけません。
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貸借対照表の目的は外部報告用と経営管理用の2つです。
外部報告用としての貸借対照表の要件
1税務署提出用→税務調査が少なくなるような要件を備えていることが必要です。
2銀行提出用 →信用力が増加するような要件を備えていることが必要です。
3業者登録用 →企業が良い評価を得られるように作成することが必要です。
経営管理用としては、経営者や幹部等、経営の内部の人が、より良い経営を実践するための内部情報として、有効に活用できる必要があります。流動資産と固定資産の区分、流動負債と固定負債が、はっきり区分されていることが大切です。
原則として、一年以内に換金できるか否かで資産を分け、1年以内のものを流動資産と呼び、1年を超えるものを固定資産と呼びます。また、負債も同様に1年を基準とします。1年以内に返済、もしくは決済しなければならないものを流動負債、1年超のものは固定負債と呼びます。
その他の留意点として割引手形には割引手形勘定を用いて、常に割引手形残高を把握することです。また、減価償却に関しては『減価償却累計額勘定』を用います。これは資産の増減を明確にし、資産の取得金額の総額を把握するためです。
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貸借対照表の意義
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貸借対照表とは、ある一時点の企業の財政状態を表したものです。
企業の流動性(支払余裕度)や長期の収益性を評価するうえで欠かせない重要なものです。
貸借対照表は図のように左側に資産、右側に負債と資本が集められています。資産は大別して流動資産と固定資産に区分されます。負債は流動負債、固定負債に区分されます。右側の下の資本のことを自己資本(あるいは正味財産)と呼びます。
貸借対照表に見る経営の留意点として、最も重要なことは正味財産(自己資本)をいかに多く残すかということです。いかに利益を上げること、儲けた利益を無駄遣いしないこと、節税を行うことの3点に要約されます。
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